知的財産法 後期第5回
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今回の演習:「軽井沢浅間高原ビール」という商標を使用してビールを販売する計画をしたところ、すでに「軽井沢高原ビール」という商標が登録されていた。取引において、双方のビールとも,地ビールとして共に長野県内で販売されるもので,その販売地域が同一又は近接しているものである。 地ビールは,観光地名,製造・販売地名を一部に含んだ商品名で販売されるものが多く見受けられることから, 同一の販売地域で販売される蓋然性ば高い。 双方、取引者,需要者を同一とするものであり,また,その需要者は, 商品や商標について専門的知識を有するとはいえない一般成人であり,商品の選択,購入等の際に格別の注意を払うものとはいえない。 このような状況で、「軽井沢浅間高原ビール」は登録可能であろうか? 両商標を対比し、商標法4条1項11号に該当するかを検討しなさい。(本日学ぶ、商標の類否判断手法に従って回答しなさい)
★知的財産法 後期第3回での演習と同じ問題ですが、第3回ではまだ商標の類否判断の手法を学んではいませんでした。その時の自身の判断と、今回の判断の結果は違うものとなったでしょうか? *****************
例題:商標の類否判断
下記の商標Aと商標Bの類否を判断して、類否欄いずれかに○を記入しなさい。なお、指定商品は、同一又は類似であるものとする。
ここをクリックすると、下記の表のpdfデータをダウンロードできます。
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氷山印事件の判決文(最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決)
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https://gyazo.com/11a1532b4e51cc96a79d6f530ab4cabc
https://gyazo.com/eab44bafd896b5446c8dcadc3a05dcd7
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氷山印事件裁判所の判断のポイント
「商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによつて決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によつて取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする。」
商標の類否判断は、
商標の
外観
観念
称呼
によって
取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察
し、商品の
取引の実情
を明らかにして、具体的な取引状況に基づいて判断する。
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氷山印事件出所の誤認混同
そして、原判決は、両商標の称呼は近似するとはいえ、なお称呼上の差異は容易に認識しえられるのであるから、「ひ」と「し」の発音が明確に区別されにくい傾向のある一部地域があること その他諸般の事情を考慮しても、硝子繊維糸の前叙のような特殊な取引の実情のもとにおいては、外観および観念が著しく相違するうえ称呼においても右の程度に区別できる両商標をとりちがえて商品の出所の誤認混同を生ずるおそれは考えられず、両者は非類似と解したものと理解することができる。
原判決が右両者は称呼において類似するものでない旨を判示した点は、論旨の非難するところであるが、硝子繊維糸の取引の実情に徴し、称呼比考察を比較的緩かに解して妨げないこと前叙のとおりであつて、この見地から右の程度の称呼の相違をもつてなお非類似と解したものと認められる右判示を、あながち失当というべきではな い。
結論
論旨は、なお原判決が硝子繊維糸は商標の称呼のみによつて取引されることがほとんどでないと認定し たことおよび本件出願商標と引用登録商標の類否は単に両者の称呼の語音を抽出対比して決するだけで は足りるものでない旨を判示したことは、両商標の称呼自体も類似しないとする判断を支持する理由となるも のではなく、却つて相反撥矛盾するものと論ずる。しかし、所論の点について原判決の説く趣旨は、すべて前 叙のとおりであつて、そこにはもとより理由齟齬の違法も認められない。論旨は、いずれも理由がない。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する(上告棄却)。
この判決を受けて、特許庁の審査基準は以下のように定められている。
https://gyazo.com/8e134b223585d6c625436842bdcd3b59
特許庁・商標審査基準 商標法4条1項11号を参照のこと
https://gyazo.com/d1207d0fe47e682b246926543c50e5e3
https://gyazo.com/edbada6a8f4ca1dc1fb6b67001eb15e8
https://gyazo.com/97091b7db6617c6241537d2e717614f1
https://gyazo.com/776c72ec602ce5e393f81bb61c25ba61
https://gyazo.com/b341787791e02c6f15bc30541a4d2c2b
https://gyazo.com/a7b16af20a1f8a1fb25849e386aa88f5
https://gyazo.com/0dff693d63f2bb557a1da76cb36b148c
https://gyazo.com/335a0b7f50853a7db8c3519e4a38bc03
類似商品・役務審査基準
「類似商品・役務審査基準」作成の趣旨
商品と役務間の類似
9類のコンピュータプログラムと42類のコンピュータプログラムの提供は類似
アイコム事件・・9類の磁気ディスクと42類のプログラムの設計・作成・保守等の役務とは非類似。
本件役務と、引用商標の指定商品とは取引の対象、形態、流通経路を共通にする場合があり得るとしても、多くの取引の対象、形 態、流通経路について共通するものではないというべきであり、一部共通する場合のあり得ることをもって、両者が直ちに類似するものであるということはできな い。
今日において、マイコンチップに埋め込まれた プログラムは多くの電化製品に組み込まれるに至っているところ、電子計算機のプログラムの設計、作成又は保守などを始めとする本件商標の指定役務(本件役務) が広く旧第11類の電気機械器具等の商品と類似するものとすると、電子計算機のプログラムを組み込んだ電気冷蔵庫、電子レンジ、電気洗たく機、電気がま、テレ ビ、ビデオデッキなど多くの家庭用電化製品の商品までもが、本件役務と類似するおそれが生じ得る。
https://gyazo.com/9e41277739eed4f2dd2be03d5a3a9acc
https://gyazo.com/ba9474f1570d9ea19725d50e187a0972
https://gyazo.com/a878d6f0c78db6fbaa041011d0da6920
意匠と商標の類否判断手法の対比
https://gyazo.com/8c85cf15ab2a1ada381966490ea85d18
https://gyazo.com/0ebe01ab494ba4d20abf60492a7767f5
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